福岡県柳川FUKUOKA 柳川ゲストハウスほりわり Yanagawa guesthouse HORIWARI
- 宿泊棟が分散Dispersed Lodgings
- 温泉Hot Spring
- 眺望がきれいBeautiful View
- 海のまちSeaside Town
- 山のまちMountain Town
- 郊外In the Suburbs
- 都市In the City
- 市場・商店街Market & Shopping Street
- 歴史的街並Historical Townscape
- 文化財級の建物Cultural Property Class
- 一棟貸切Limited to One Group Only
- 体験experience
- 産業遺産Industrial-heritage
- 田園風景Countryside
- 銭湯Sento
- 島island
- 城下町Old castle town
観光という非日常のすぐ隣に、野菜をもらい、お醤油を貸し借りするような日常がある。
お商売とみんなの生活が入り混じるまち、やながわ。
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広大な筑後平野の真ん中あたり、柳川というまちにある小さな宿、”ほりわり”と申します。
柳川には、弥生時代から2,000年以上かけて人工的に作られた水路があります。
古くから、平野に位置するこの土地で水害と上手に付き合っていくため、
それから、平野であるこの土地の田畑や家庭に水を行き渡せるため、
また、敵から城を守るためなど、時代に合わせて役割を変えながら、増やしながら、私たちのそばにあり続けてくれている水路です。
全国的に河川が汚れて腐敗臭がしていた1980年代、全国的に水辺が埋められた時代があります。
柳川も同じく時代に流され埋められようとしたこの水路ですが、まちのアイデンティティを失ってしまうこと、私たちの生活に必要なことを知っていたまちの人たちによって、大々的に清掃活動が展開され、今の形を残しています。
(この歴史は、ジブリの高畑勲さん宮崎駿さんが「柳川堀割物語」というドキュメンタリー映画におさめてくださっています。)
時代じだいに合わせて、この土地の人々が自然との共存をしてきた証でもあるこの水路。
私達はそれを掘割(ほりわり)と呼び、そんな名前を宿につけさせていただきました。
人々が柳川を思い出す時、その風景の中にはかならず堀割が写っています。
柳川を巡るこの堀割の長さは、全部で930キロと言われ、直線距離にして柳川から横浜まで行けてしまうほど。
現在では、この堀割の一部を巡る川下りという観光があり、どんこ舟でゆっくりとまちのなかを巡ります。
まるで道路のように張り巡らされた水路の中に、交差点のような場所もたくさん。
船頭をする人の中には水路から見た風景は詳しくても、道路では路に迷ってしまう人がいるくらい、
水路から見るまちの景色と道路から見るまちの景色は違って見えます。
駅を降りて、水路をどんこ舟に乗って、のんびりと約1時間、
川を下った先の観光地に、宿「ほりわり」はあります。
宿の周辺には、有明海の魚を存分に楽しませてもらえる魚屋さんの食堂から、
拘りにこだわっている、でも敷居がものすごく低いお肉屋さん、地元の食卓に欠かせない、お客さんがひっきりなしのお肉屋さん、小さな日用品店や、小さな八百屋さん、地元の若者からご近所のおばちゃんたちまで集まるカフェ、帰省したら必ず食べたいという野菜たっぷりのちゃんぽんが名物の地元の食堂、常連さんがカウンターに並び、聞き取れないネイティブ言語が飛び交う焼き鳥屋さんからスナックまで、やわらかいお湯の温泉もあって、散歩の気持ち良い水辺もある。
何より、ちょっと天邪鬼な、もてなし好きな地元の人がいる。
そんなところを好きになってくれる人に、このまちで出会えたらいいなと、まずはこの土地で素泊まりの宿を開きました。
非日常の近くに、日常がすぐ隣にある。
お商売とみんなの生活が入り混じるまちです。
柳川という地域は筑後平野に在ると言いましたが、その平野の中でも、皆さんが食べてくださっているであろうコンビニおにぎりの海苔の多くを生産している”有明海”という海に面しています。潮の干満差が6メートルあり、それが美味しい海苔を育みます。夕方には、赤やオレンジ色の夕陽が干潟に映りこむ景色を見ることができる海です。
そして、陶芸が有名な佐賀、お城や農業・工業が盛んな熊本に挟まれた地域です。
車で15分西に行くと佐賀、またその先の長崎に足を伸ばしたり、車で20分南に向かうと熊本、便利に走るフェリーを使って長崎の雲仙にもいくことができ、朝出発しても、有明海を一周して夕方には充分帰ってくることができます。
さらには、昔から人同士の行き交いがありました。
お祭りの際には長崎から芸妓さんが来たり、海苔の時期には山からお手伝いに来たり、海苔が終われば反対にお茶摘のお手伝いに行ったり、こんなに近くに陶器、竹細工、お線香、お茶、海苔、ガラス細工、漆、他にもたくさんのて仕事のある地域。
何もない、と思っていたけれど、柳川には水路という動かせない魅力があって、周りにはたくさんの技術という魅力と、それを培ってきた自然がある。
そしてそのどこにもお互いを紹介し行き来し合う人たちがいる。
宿を開いて6年経ってみて、オープン当初には見えていなかった人や伝統、繋がりに出会い続け、実は九州というのは、私にとってちょうどいい、具合のいい土地なのかも、と思っている今日このごろです。